社長が毎朝見るべきKPIダッシュボードの作り方

「数字は見ているのに意思決定が早くならない」──よくある原因は、“見るべき指標が多すぎる/つながっていない”こと。
本記事では、毎朝3分で現状→打ち手が決まるダッシュボードの作り方を実務視点で解説します。
原則:ダッシュボードは“1画面・7指標以内”
- 1画面完結:スクロールなしで全体像(売上・粗利・キャッシュ・パイプライン)が見える。
- 7指標以内:情報過多は判断を鈍らせる。主要KPIは最大7つに絞る。
- つながり:売上KPI ⇄ 粗利 ⇄ キャッシュがロジックで連鎖(分母・分子を明確に)。
- 更新頻度:日次/週次の区別。日次はトレンド、週次は対策。
まず揃える“共通KPI”
KPI | 定義 | 見る理由 |
---|---|---|
売上(MTD/予算比) | 当月累計売上 / 予算 | 今どこにいるかの座標。日次で進捗%を把握。 |
粗利率 | (売上−変動費)/売上 | 値引き/原価上昇の影響を即検知。利益体質の健全度。 |
営業利益(または営業CF) | 粗利−販管費(もしくは営業利益+減価償却費) | 返済原資と同義。投資余力の判断材料。 |
キャッシュ残高(週次) | 現預金期末見込み | 資金ショートの早期発見。最低◯ヶ月分コストの確保。 |
受注見込総額(今月+来月) | 確度×見込金額の合計 | 先行指標。翌月の売上/粗利の“芽”。 |
回収サイト/在庫回転(業態別) | DSO/在庫日数/買掛日数 | 運転資金の圧迫要因を可視化。 |
解約率/リピート率 | 当月解約件数÷期首契約/リピート比率 | 顧客維持の健全性。販促よりコスパ高い改善点。 |
※KPIは“定義が命”。社内で同じ計算式・同じ更新頻度に統一しましょう。
業態別:追加で効くKPI
BtoB受託/プロジェクト型
- 商談数 → 受注率 → 平均単価(件数×率×単価)
- プロジェクト粗利(実行予算対比)/ 稼働率 / 工数差異
サブスク/継続課金
- MRR/ARR、チャーン率、LTV、CAC、LTV/CAC比(≥3目標)
- コホート残存率、アクティブ率
EC/小売
- CVR、AOV(客単価)、ROAS/CPA、在庫回転
- 新規/リピート売上構成比、返品率
作り方:5ステップ
- 目的を1行で定義:例「毎朝3分で売上/粗利/キャッシュの危険信号を察知」
- データ源を固定:会計(freee等)/受注管理/広告/在庫。手入力を排除。
- 指標定義をルール化:部門横断で同じ式・同じ更新日。辞書化する。
- 可視化:1画面(PC幅)・7指標以内・色は3色以内(良:青/注意:黄/警告:赤)。
- 運用:毎朝確認→毎週“対策ミーティング”(原因/施策/担当/期限を1行管理)。
レイアウト例(テンプレの骨子)
ブロック | 表示項目 | 更新頻度 |
---|---|---|
トップ指標 | 売上(MTD/予算比) / 粗利率 / 営業CF見込み | 日次 |
先行KPI | 受注見込(今月+来月)/ 商談数 / 受注率 | 日次〜週次 |
資金 | キャッシュ残高 / 入金予定 / 出金予定(12週) | 週次 |
運転資金 | 売掛・買掛回転日数 / 在庫日数 | 週次〜月次 |
顧客 | 解約率/リピート率 / NPS(任意) | 月次 |
よくある失敗と対策
- 指標過多:→ “7つルール”。残りは詳細レポートへ退避。
- 数式がバラバラ:→ KPI辞書を作成し、全員同じ式・同じ日で更新。
- 会議が“状況共有”で終わる:→ 各KPIに「原因」「打ち手」「担当/期限」を必ず1行で紐づけ。
- 手入力が多く遅延:→ まずは売上・支出・受注の3本だけ自動連携に切り替え。
無料提供:KPIダッシュボード雛形(Excel/スプレッドシート)
指標定義シート・入力タブ・ダッシュボード(自動集計)をセットにしてご提供します。
まずは御社の業態に合わせて“7指標版”へカスタマイズしましょう。