初めての銀行借入:事業計画で落としがちな盲点

はじめての借入で一番差がつくのは、「計画の数字」と「銀行が見る3点」を揃えているか。
本記事では、面談で必ず聞かれる観点と、通りやすい計画の作り方を実務目線で解説します。
銀行が見る3点:ここを外すと通らない
① 返済原資(キャッシュフロー)があるか
- 営業利益+減価償却費 − 法人税等 − 設備投資(自己資金分) ≒ 実質の返済原資
- 返済額(年額)に対し、返済原資の1.5倍以上が目安(安全域)
② 資金使途が明確か(ブレないか)
- 何に・いくら・いつ使うかが見積と一致(相見積・仕様統一)
- 運転資金は「売上債権+在庫−仕入債務」の増加根拠で説明
③ 実現可能性(計画と体制)
- 売上の算定根拠(顧客数×単価×転換率)のロジックが妥当
- 人員・仕入・外注・リード獲得など実行体制が数値と連動
計画書に入れるべき数字(最小セット)
指標 | 算出の考え方 | 銀行が見るポイント |
---|---|---|
売上計画 | 顧客数 or 受注件数 × 平均単価 × 稼働率 | 過去実績・受注見込み・販促計画との整合性 |
粗利率 | 売上 − 変動費(原価・外注)/売上 | 値引き・仕入条件の前提、直近の変動要因 |
販管費 | 人件費・広告費・家賃・ツール費の見積 | 採用時期・広告CPAなどの根拠 |
営業CF | 営業利益+減価償却費 − 税金 | 返済原資として十分か |
運転資金 | 売掛・在庫・買掛の回転日数から算出 | 成長局面での増加分の資金手当があるか |
よくあるNG:ここで落ちる
- 利益は出るがキャッシュが足りない(減価償却・在庫増を見落とし)
- 資金使途が曖昧(見積不足/見積条件がバラバラ/発注時期が未定)
- 過去実績との乖離が大きい(前年−今年の伸び率に根拠がない)
- 返済期間が短すぎる(月次CFに対して返済負担が重い)
- 自己資金ゼロ主義(全額借入依存でリスク分担が薄い)
面談で効く「3枚の資料」
- 資金繰り表(12か月) … 月次の入出金と借入返済を一本化。赤字月があれば対策も併記。
- 損益計画(四半期) … 売上ロジック(件数×単価×率)を注釈で明示。
- 設備投資・運転資金の内訳 … 見積3社・仕様統一・発注スケジュール。
※資料は「数式の前提」を書き添えると理解が早い(例:平均単価=既存単価×1.05
等)。
返済可能性のセルフチェック(5項目)
- 年返済額 < 営業CF の 2/3(返済負担率≦67%)
- 借入金回転期間(借入残高÷営業CF) 5年以内
- 売上の根拠は「顧客数・単価・転換率」に分解して提示できる
- 運転資金の増加ロジック(回転日数×売上・仕入)が説明できる
- 資金使途は見積・発注時期と1対1対応している
提出前の最終確認テンプレ
- 資金繰り表に借入実行月・返済開始月を反映した
- 見積は3社・同一仕様で比較、採用理由を明記
- 自己資金の入金時期・額が通帳で裏付け可能
- 売上根拠の出所(契約・見積・CVR実績・商談パイプライン)を準備
- 返済方法(元金均等/元利均等)と期間の妥当性を試算
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