税務調査のオンライン化、全国展開へ

国税庁は、これまで大規模法人を中心に試行してきた「税務調査・行政指導のオンライン化」を、今後全国の国税局・税務署へ順次拡大する方針を公表しました。
コロナ禍を契機に始まった非対面対応の流れが、いよいよ制度として定着しつつあります。今回は、この取組の概要と中堅・中小企業にとっての実務的なポイントを解説します。

1. 何が起きているのか(What)

国税庁は、税務調査や行政指導などでオンラインツール(インターネットメール、Web会議システム<Microsoft Teams>、オンラインストレージ<PrimeDrive>、アンケート作成ツール<Microsoft Forms>)を活用できる仕組みを導入しました。
書類の受け渡しや打合せ、意思確認などがオンラインで行えるようになります。

出典(公式):国税庁「税務行政におけるオンラインツールの利用について」

2. 誰が対象か(Who)

先行導入は金沢国税局・福岡国税局でしたが、今後は他の国税局・税務署でも順次導入される予定です。
これにより、大企業だけでなく中堅・中小法人、個人事業主もオンライン対応の対象に含まれていきます。

3. いつから始まるのか(When)

試行開始は令和5年7月。令和7年秋から本格運用の案内が公表され、全国展開(他局・税務署)は令和8年3月〜6月に順次導入予定とされています。

4. なぜ導入するのか(Why)

  • 感染症拡大時の非対面対応の経験を制度化するため
  • 税務行政DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環
  • 納税者の利便性向上・調査効率化のため

特に大企業では既にWeb会議やデータ共有が当たり前になっており、国税側もそれに合わせた調査手法へシフトしています。

5. どのように対応すればよいか(How)

  1. 調査担当者からオンライン調査の打診があった場合、利用同意事項の内容を確認
  2. Microsoft Formsを通じてメールアドレス等を登録(税務署・国税局の部署ごとにフォームあり)
  3. e-Tax経由で「オンラインツールの利用に関する同意書」を提出
  4. 担当者からのテストメールに返信し通信確認
  5. TeamsやPrimeDriveを利用した調査・資料やり取りを実施

ただし、オンライン調査の実施は国税当局の判断によるため、希望しても対面調査となる場合があります。

AI・デジタル化による調査の精度向上

今回のオンライン化は単に「非対面化」ではなく、税務行政のデジタル基盤整備を通じてAIによる網羅的・高速なデータ分析が可能になる点でも大きな転換です。
今後は紙資料中心の“現場判断型”から、電子帳簿・e-Taxデータなどを活用した“データドリブン型”の調査へ移行していくことが予想されます。

つまり、納税者側もこれまで以上に取引の証憑・根拠資料を体系的に整理・保存しておくことが求められます。
日々の仕訳や経理処理の精度が、そのまま税務リスク管理に直結する時代に入りつつあります。

6. まとめとご相談窓口

税務調査のオンライン化によって、調査はより効率的・高度化される一方、納税者のデータ管理・処理精度にも高いレベルが求められます。
紙中心の経理やあいまいな仕訳ルールでは、思わぬ税務リスクを招く可能性があります。

こうした環境変化の中では、単に申告を代行するだけでなく、デジタル対応・AI時代の調査リスクを理解した税理士が重要です。
IMAS総合会計事務所では、電子帳簿保存法・インボイス対応からオンライン調査の実務支援まで、経営者の立場に立った総合的なサポートを行っています。

出典・参考

※本記事は一般的な情報提供であり、個別案件の税務判断を示すものではありません。実際の対応は担当官の指示・合意内容に従ってください。

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