在庫管理とキャッシュフロー:お金を「倉庫」に眠らせないために

在庫は資産ですが、現金ではありません。持ちすぎればキャッシュを圧迫し、少なすぎれば機会損失。この記事では、在庫と資金繰りの因果を整理し、今すぐできる実務改善をまとめます。

1. 在庫が資金繰りを悪化させる典型パターン

  • 仕入→在庫→売上→入金のタイムラグが長い(先に現金が出る)
  • 在庫過多で値引き処分・滞留・陳腐化が発生し粗利を圧縮
  • 在庫保管や物流の固定費が増加(倉庫費・人件費・保険・破損)

逆に、在庫不足が続くと「欠品による販売機会損失」「顧客離れ」につながります。重要なのは適正在庫の見極めです。

2. まず押さえるべき指標(式つき)

在庫回転率
式:売上原価 ÷ 平均在庫高
目安:高いほど回転が速い(資金効率が良い)
在庫回転日数(在庫日数)
式:{平均在庫高 ÷ 売上原価} × 365日
目安:短いほど良い(在庫滞留が少ない)
キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)
式:在庫日数 + 売上債権回収日数 − 仕入債務支払日数
目安:短いほど資金繰りが楽

まずは過去12か月のデータで上記を算出し、月次で推移を追いましょう。悪化している指標を優先的に手当てします。

3. 今日からできる在庫×キャッシュの改善手順(5ステップ)

  1. 見える化:品目別に「在庫高・回転率・粗利」を一覧化(ABC分析)。A品目=粗利や売上への寄与が大きいものから管理強化。
  2. 適正在庫の再定義:安全在庫(最小必要量)と発注点を設定。発注点=需要の平均×リードタイム+安全在庫。
  3. 滞留在庫の圧縮:30/60/90日などの滞留閾値を決め、値引き・セット販売・返品交渉で現金化。意思決定ルールを明文化。
  4. 支払・回収のバランス調整:仕入先とは支払サイト延長/分割を交渉、得意先には前受・早期回収(前払割引・請求前倒し)を検討。
  5. 月次運用ループ化:在庫KPI(回転率/日数)を月次KPIダッシュボードに組み込み、改善→効果測定を回す。

4. 実務Tips(現場で効く小ワザ)

  • SKU整理:売れない品目は段階的に廃番(ロングテール圧縮)
  • 少量多頻度の発注:ロット・送料と在庫コストのトレードオフを試算
  • 代替提案の型:欠品時の代替SKUリストを事前に用意して機会損失を削減
  • 値引きの順序:現金化優先→販促同梱→セット割→最終処分(粗利影響を試算)
  • 会計連携:クラウド会計と在庫管理の科目・SKUをマッピングして数字の一貫性を担保

5. まとめ

在庫は「必要悪」ではなく、うまく回せばキャッシュを生む仕組みに変えられます。まずは見える化→適正在庫→滞留圧縮→支払・回収の最適化、の順で進めましょう。

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